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こんにちは。
大阪府枚方市・はる鍼灸整骨院 院長の島井です。

普段、痛みのご相談を受けていると、
“人には言いづらい場所の痛み” に悩む方が想像以上に多いと感じます。

今日はその中のひとつ、陰部神経痛に向き合った60代女性の物語を、
静かに丁寧に綴ってみたいと思います。痛みを抱える誰かにとって、

「こういうケースもあるんだな」と感じてもらえれば幸いです。

 

 

はじまりは “小さな違和感” だった

3年前、彼女が最初に感じたのは
「なんとなくおかしい」という、ふわっとした違和感でした。

左の陰部から肛門の周囲が少し気になる。
痛いわけではない。
でも、気にしないでおくには少し濃い“ざわつき”がある。

家事の最中や座った瞬間にふと浮かぶ違和感が、
少しずつ生活に影を落とし始めました。

 

 

 

 

違和感は “ピリピリした痛み” へと変わる

数ヶ月が経つ頃、
その違和感は “ピリピリ” とした明確な刺激へ変化していきました。

座ると強くなる。
立っているときにも気になる。
横になっているときだけが少し楽。

「座る」という、何気ない動作が怖くなる。

外出先の椅子、食事の椅子、電車の座席…。
どれも痛みの予兆のようで、気持ちが落ち着かない日が続いたといいます。

 

 

 

病院には通っていた

 

でも、目に見える“異常”は見つからなかった

病院でも必要な検査は受けておられました。

MRI
レントゲン
血液検査

どれも大切なステップですが、結果はいつも同じ。

「大きな異常は見当たりません」

そう言われてホッとする気持ちと、
「ではこの痛みは…?」という謎が残る気持ちとが
胸の中で行き来していたそうです。

抗うつ剤や漢方を服用しながら経過をみていたものの、
日によって痛みが強く出る日もあり、
最近では「日中がしんどい」と感じることが増えてきたとのこと。

 

 

 

そっと当院を訪ねてこられた日
 

「鍼って、こういう痛みに使えるんでしょうか…?」

そんな控えめな声から、最初の問診は始まりました。

症状がデリケートな部位ということもあり、
少し緊張されている様子が伝わってきます。

ゆっくりお話を伺い、検査を進めていくと、
身体はいくつかのサインを出していました。

 

 

 

初回検査で見えた “身体の傾き”

 

● 仙骨まわりの痛覚が左だけ過敏

普段気づかない刺激が“痛み”として入ってきている状態。
 

● 梨状筋・仙結節靭帯に圧痛

陰部神経が走行する深層部位。
周囲の張りが神経に負担をかけている可能性。

 

● 眼球運動(パースート)に左右差

目を滑らかに動かすときに現れる小さな“カクつき”が、
脳の処理の偏りを示すことがあります。

 

● 輻輳反射にも左右差

視覚と姿勢の連動に影響し、
骨盤周囲の筋緊張に差が出やすい状態。

 

● 腱反射の左右差

神経伝達の偏りのサイン。
 

これらを合わせると、
「局所の過敏化」+「脳の痛み調整機能の負荷」
が背景にある印象でした。

痛みは“場所”だけを見ると見誤ることがあります。
身体は全体でひとつのシステムだからです。

 

 

 

鍼治療と機能神経学アプローチ

 

無理に変えるのではなく、“整える”イメージで

施術は2つを組み合わせました。

 

● 鍼治療

梨状筋、仙結節靭帯、仙骨まわりなど
神経と関係する筋・靭帯の緊張を整える目的で行います。

深部の血流変化や神経の酸素化改善は、
痛みの感じ方に変化をもたらすことがあります。

 

● 機能神経学アプローチ

  • 眼球運動

  • 呼吸と骨盤底の連動

  • 小脳・前庭系の調整

  • 体性感覚の左右差の補正

  • 自律神経のバランス調整
     

身体が本来もっているリズムや情報処理を整えることで、
“痛みのスイッチ” が入りやすい状態を少しずつ変えていく考え方です。

 

※陰部そのものに直接触れる検査や施術は行いません。
痛みの背景にある“神経の働きや身体の情報処理の偏り”を
無理なく確認していく形で進めていきます。

 

 

 

週1回の施術を重ねながら

 

いい日とそうでない日を行き来する時間

施術は週1回、全18回。

調子が良い週もあれば、
少し戻る週もあります。

ただ、その“戻り方”が少しずつ穏やかになっていくのが印象的でした。

痛みの回復はまっすぐな階段ではなく、
上ったり下がったりしながら少しずつ前へ進む坂道のようなもの。

彼女も、そんな波を越えながら身体の感覚が整っていったように感じます。

 

 

 

ある日、ふと話してくれたこと


施術を続けて数ヶ月たった頃。

「実は、この前、同窓会に行ってきたんです」

と、少し照れくさそうに教えてくださいました。

長時間座ることが不安で避けていた外出。
でもその日は、久しぶりに昔の友人と会い、
会話や笑い声が痛みよりも大きく心に残ったそうです。

さらに、

「東京と大阪を新幹線で往復したんですよ。」
「座っていられました。」

そんな言葉も続きました。

それは、「治った」ではなく、

“できなかったことが、またできるようになった”

という静かな変化の積み重ね。

その自然さが、とても印象に残りました。

 

 

 

そして現在

 

日によっては少し気になる日もある。

それでも、以前のような不安は薄れてきた。

痛みはほとんど日常の中心ではなくなり、
ときどき疲れた日に“ピリッ”と感じる程度。
現在は月に1回、体の調整に来られています。

痛みと向き合う過程は人それぞれで、
誰とも同じにはなりません。

ただ、「少しずつ楽に過ごせる時間が増えていく」ことが、
生活の中にほんの少し余裕と選択肢をもたらしてくれるのかもしれません。

 

 

 

最後に

 

“必ず良くなる” とは言えません

でも、痛みの背景には“整えられる部分”があることもあります

陰部神経痛は、
場所の特性もあり、言いづらかったり、
相談しにくいと感じる方も多い症状です。

この物語は
「治る」「良くなる」と断定するためのものではありません。

ただ、
痛みの背景にはひとつの原因だけでなく、複数の要因が重なっていることが多く、
そのいくつかは身体の働きを整えることで変化し得る
ということを、今回のケースは静かに教えてくれたように思います。

もし同じような痛みで不安を抱えている方がいれば、
「こういう視点もあるんだな」
そんなふうに自然に思っていただければ幸いです。

 

 


【参考・出典文献】

  1. Labat JJ, et al. (2008). Diagnostic criteria for pudendal neuralgia by pudendal nerve entrapment (Nantes criteria). Neurourology and Urodynamics.

  2. Robert R, et al. (2008). Pudendal nerve entrapment: Clinical and neurophysiologic features. Pain Physician.

  3. Latremoliere A, Woolf CJ. (2009). Central sensitization: A generator of pain hypersensitivity. Journal of Pain.

  4. Tracey I, et al. (2017). Central pain modulation: Understanding the descending pain modulatory system. Nature Reviews Neuroscience.

  5. Chen L, et al. (2009). Acupuncture modulates descending pain pathways. Molecular Pain.

  6. Vickers AJ, et al. (2012). Acupuncture for chronic pain: Individual patient data meta-analysis. Archives of Internal Medicine.

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