急性腰痛（ギックリ腰）

公開日：2022.01.06
更新日：2024.12.06
記載内容は院長 島井浩次が執筆・監修しています。

「突然、腰がギクッとなって動けなくなった」

「重いものを持った後から腰が痛くてまっすぐ立てない」

このような急に起こる腰の痛みは、急性腰痛（いわゆるぎっくり腰）と呼ばれ、多くの人が一度は経験する不調のひとつです。

強い痛みや動けなさから不安になりやすい急性腰痛ですが、実は「骨に異常がある」ことは少なく、多くの場合は筋肉や関節、神経の一時的な炎症や緊張が原因です。

こうした状態には、鍼灸治療と機能神経学の組み合わせがとても効果的です。



＜以下の場合はまずは整形外科で検査を受けてください＞

• 尻もちをついた後に痛みが出た場合は圧迫骨折の可能性があります。
• 夜間にうずく、痛みが楽になる姿勢がないときは内臓の病気が原因の可能性があります。
• 腰の痛みとともに脚やお尻にしびれを感じて感覚がない場合は神経や血管が原因の可能性があります。

鍼灸は、体のツボを鍼やお灸でやさしく刺激することで、自然治癒力を引き出す伝統的な治療法です。

急性腰痛では、急に筋肉や関節の動きに負荷がかかり、炎症や緊張が起こっています。

鍼灸はこれに対して以下のような効果を発揮します。

• 緊張した筋肉をゆるめ、血流を改善

• 痛み物質の排出を促し、炎症を和らげる

• 副交感神経（リラックスの神経）を活性化し、痛みを感じにくくする

とくに、動かすのがつらい時でも、ベッド上で無理なく受けられる点がメリットです。

初期対応として鍼灸を行うと、痛みが早く引き、回復がスムーズになることが多いです。

一方、機能神経学は「脳と神経の調整」を通じて身体のバランスを整える現代的な手法です。

急性腰痛のとき、体は「痛みを避けよう」とするため、姿勢や歩き方、筋肉の使い方が大きく乱れます。

この時、脳の感覚や運動の指令が混乱し、痛みが長引いたり、再発しやすくなったりします。

機能神経学では、

• 痛みで乱れた神経の情報処理を再調整

• 軽い運動や感覚刺激を使って、脳と体のバランスを整える

• 「正しく動く」ことを脳に再学習させ、回復を早める

ことを目指します。たとえば、眼球運動や簡単な身体の動きで、神経の回路を正しく戻すことができます。

 

鍼灸で「痛みや炎症を早くおさえ」、機能神経学で「正しい動きを再構築する」ことで、急性腰痛からのスピーディな回復と再発予防が期待できます。

一時的な痛みをしのぐだけでなく、「腰が弱くなった気がする」「また痛めそうで怖い」という不安にも、根本からアプローチできるのがこの組み合わせの強みです。

 

出典：日本整形外科学会「腰痛診療ガイドライン」、Carrick Institute「Functional Neurology」資料

 

急性腰痛（ギックリ腰）を改善するためには、筋肉や骨格の問題だけでなく、脳・神経系の機能を整える必要もあります。ほとんどの場合、完全に痛みが取れるまで数週間の通院が必要です。

「うちは１回で改善させます！｣といった整体院や鍼灸院もありますが、当院のこれまでの実績では、そういった事例は極まれです。効果を誇張する治療院にはご注意を。

当院では、まずは適切な優しい刺激を脳に送ることで、痛みで過敏化した神経系が正常に働くようにアプローチしていきます。筋肉も単独で伸び縮みしているわけではなく、脳からの指令によってコントロールされています。まずは神経系を整えることがもっとも体に優しく､そして効率のいい施術になります。

筋肉や骨格に強い刺激を与えれば、その場では変化も大きく出ます。しかし腰痛を患っている方は、多くの方が神経が過敏になっています。その状態で強い刺激の施術をしてしまうと、リバウンドが起きてしまい症状が悪化してしまいます。

通院期間や間隔は、年齢や性別、初回来院時の状態などによって大きく変わりますので、画一的なことは申し上げられませんが、腰痛の方の約８割は以下のような通院をしていただいております｡

週に１～2回ほどの通院が目安です。この期間でまずは過敏になった筋肉や神経系のバランスを整えていきます。鍼灸・BASE療法を用いて、神経系や筋肉を整え根本的に体を変えていくための基礎を作ります｡