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はじめに

こんにちは。はる鍼灸整骨院の院長 島井浩次です。

今回は、虫歯治療後に続いた原因不明の歯の痛みが、鍼治療と機能神経学的アプローチによって改善したケースをご紹介します。

患者さんは医療関係の40代男性。

「虫歯を治したはずなのに、痛みがひどくなる一方」

「レントゲンでは異常なしと言われたのに…」という苦しさを抱えていました。

患者さん自身の言葉を交えながら、その回復までの道のりをお話しします。

 

 

1:あの時は、ただの虫歯治療のつもりだった

治療さえすれば終わるはずでした」

穏やかな声で、彼はそう語り始めました。

3週間前、右下の奥歯に虫歯が見つかり、歯科医院で削って詰め物をしました。

「終わったばかりの歯が少ししみるのは当たり前」——そう言い聞かせていたものの、

数日後からズーンと奥に響くような鈍い痛みが続き始めました。

「ズキッ…あれ?こんなに痛むのはおかしい」

その違和感は日を追うごとに強まり、やがて硬いものを噛むことができないほどの痛みになっていきました。

 

 

 

2:痛みが“移っていく”恐怖

「最初は治療した歯だけだったんです。でも…」

彼は苦笑いを交えてこう言いました。

痛みはやがて隣の歯へ、さらにその隣へと広がっていきました。

「1本だけの問題じゃない?…いったい、どの歯が本当に悪いんだ?」

そんな不安が頭をよぎります。

夜中も痛みで何度も目が覚め、寝不足に。

「痛み止めを飲めば少し眠れる。」

「でも、切れた瞬間にズキーンとくる。」

「毎晩その繰り返しで、朝が来るのが怖かったです…」

 

 

 

3:「神経を抜く」という選択を前にして

痛み止めを常用する日々が2週間続き、再度歯科を受診。

しかし、レントゲンに異常はなく、最終的に歯科医からはこう告げられました。


「もう神経を抜くしかないでしょう。」

その言葉に、彼の表情は固まりました。

「医療に携わる人間だからこそ、怖かったんです。」

「原因がはっきりしないまま神経を抜く…それは最後の手段だと思っていました。」

「一度抜いたら、もう元には戻せないでしょう?」

眠れない夜が続くなかで、ふと頭をよぎったのは、

「昔、鍼で歯の痛みが軽くなった人がいる」というぼんやりした記憶でした。

「ダメ元でもいい。腰痛で通っていたあの鍼灸院なら、話くらい聞いてくれるかもしれない」

そうして、当院のドアを叩いたのです。

 

 

 

4:見つかった“本当の原因”

まず行ったのは顔面の痛覚検査でした。

「ここ、チクッとしますよ」

下顎のライン(三叉神経第三枝の領域)を軽く触れると、

「痛っ…!そこ、ズーンと歯まで響きます」


これは、神経が過敏化しているサインでした。

さらに咬筋・内側翼突筋を丁寧に触診すると、

「そこです!そこを押されると、まさに歯がズキッとする感じです」

筋肉を押して歯が痛む。

それはまさしく
トリガーポイントの関連痛の典型例でした。

「歯自体が悪いわけじゃない可能性が高いですね。」

そうお伝えすると、彼はホッとした表情を見せました。

 

 

 

5:鍼が“神経の感作”を鎮めるまで

治療は週2回、計4回行いました。
 

▼施術の内容

  1. 咬筋・内側翼突筋のトリガーポイント鍼治療
     → 筋緊張を緩め、関連痛を断つ。

     

  2. 三叉神経各枝への刺鍼
     
    → 下行性痛覚抑制系(痛みを抑える神経システム)の賦活を目的。
     

  3. 耳介・側頭部の迷走神経刺激
     → 自律神経バランスを整え、睡眠の質向上にも配慮。



     

▼経過

1回目終了後
「なんだか、痛みの質が少し変わった気がします…ズキッとくる感じが少し鈍くなったというか」

 

3回目終了後
「夜中に痛みで起きることがなくなりました。本当に、ここ数日はぐっすり眠れています」

 

4回目終了時
「気づいたら、痛み止めを飲んでいませんでした。あれだけ怖かった噛む痛みも、もうないです」

 

穏やかな笑顔が戻った瞬間でした。

 

 

 

6:なぜ虫歯治療が神経を過敏にするのか?

今回のように、虫歯治療後に痛みが長引くケースは珍しくありません。
 

  • ドリルや冷却水による機械的・温度的刺激
  • 象牙質や歯髄に近い部位への処置
  • 長時間の開口による咬筋・内側翼突筋の過緊張
     

これらがAδ線維・C線維を過剰に興奮させ、三叉神経核での感作(過敏化)を引き起こします。

また筋肉のトリガーポイントが形成されることで、歯の奥が痛むような関連痛が生じます。

 

 

 

7:神経を抜く前に、できることがある

「痛いなら抜く」という選択は時に必要です。

しかし、「異常が見つからないのに痛い」という場合は、


その背後に神経の過敏化や筋肉由来の関連痛が潜んでいるかもしれません。

「神経を抜く前に、試せることがあった」

彼がそう選択してくれたからこそ、今回の結果につながりました。

 

 

 

おわりに

痛みは「組織の異常」を示すだけではなく、

時に「神経が感じすぎている」だけのこともあります。


もしあなたが、原因不明の歯の痛みに悩んでいるなら、

神経や筋肉へのアプローチという選択肢もあることを、ぜひ知っておいてください。


 


参考・出典論文

  • Sessle, B. J. (2000). Acute and chronic craniofacial pain: brainstem mechanisms of nociceptive transmission and neuroplasticity, and their clinical correlates. Critical Reviews in Oral Biology & Medicine, 11(1), 57–91.

  • Simons, D. G., Travell, J. G., & Simons, L. S. (1999). Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual, Volume 1.

  • Woolf, C. J. (2011). Central sensitization: implications for the diagnosis and treatment of pain. Pain, 152(3 Suppl), S2–S15.


 

 

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