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〜神経・脳・鍼灸の視点から読み解く“現代型こり”の正体〜

肩こりは、デスクワークやスマホ、ストレス社会に生きる私たちにとって、もはや「国民病」と言っても過言ではありません。

しかし近年、この慢性的な肩の重だるさや痛みは、単なる筋肉の緊張だけでなく、“脳の疲労”が大きく関係しているという研究が増えています。

「肩がこる」という症状の背後には、脳の働きの偏りや機能低下、さらには自律神経や血流の調整機能の乱れが潜んでいる可能性があるのです。

この記事では、神経学的な肩こりのメカニズムから、鍼灸がどのように作用するかまで、専門的な視点を保ちつつ、一般の方にもわかりやすく解説していきます。

 

「肩こり」はどこで感じているのか?

私たちが「こっている」と感じるのは、肩の筋肉自体ではなく、脳(感覚野や辺縁系)です。

筋肉からの情報(筋紡錘、腱、皮膚など)は、脊髄を経由して脳に伝わり、そこではじめて「痛み」や「重だるさ」として認識されます。

つまり、実際には“肩の状態”と“脳の感じ方”の両方が肩こりに関与しているのです。

 

脳が疲れると肩がこる?神経学的な4つの機序

【1】前頭前野の働きの低下(Executive Fatigue)

前頭前野(Prefrontal Cortex)は、集中力や注意、ストレス制御などを担う領域ですが、慢性的なストレスや睡眠不足が続くと、前頭前野の活動が低下します。

この領域は、自律神経の中枢や体幹の筋活動の抑制にも関与しているため、機能が落ちると

  • 呼吸が浅くなる

  • 姿勢保持筋が過剰に活動

  • 血流調整が乱れる

といった変化を招き、結果的に僧帽筋上部や肩甲挙筋が過緊張し、肩こりが生じます。

 

【2】感覚野の過活動と「こりの誇張」

筋肉からの求心性入力(感覚刺激)が過剰になると、体性感覚野(S1)や島皮質、扁桃体などの過活動が起き、「こり」や「違和感」が実際以上に強く感じられるようになります。

これは「感覚の誇張(central sensitization)」と呼ばれる現象で、慢性痛と同様のメカニズムです。

 

【3】脳幹網様体と自律神経の乱れ

脳幹の延髄・橋・中脳に存在する網様体(Reticular Formation)は、覚醒レベルと自律神経調整の中枢です。脳の疲労によりここが不安定になると、交感神経が常に緊張し続け、肩周辺の血管が収縮・筋肉が酸欠状態になります。

これが、「肩が冷える」「張って固まる」「朝から重い」といった症状の背景にあります。

 

【4】小脳と姿勢制御の不具合

小脳は身体のバランスを無意識に調整しています。長時間の固定姿勢や眼精疲労、さらには耳の平衡感覚(前庭系)との連携不全によって小脳がうまく働かないと、僧帽筋上部や肩甲挙筋が常に緊張し続けるようになります。


とくに、「片側だけがこる」「寝起きに肩が重い」場合は、小脳・前庭の左右差が関係していることがあります。

 

ATPと血流の関係:「こり」は代謝低下のサイン?

肩の筋肉は、日常の細かい動きや姿勢保持に常に使われています。

ところが、姿勢が悪い・呼吸が浅い・ストレスが強いなどの状態が続くと、筋肉の代謝に必要な

  • 酸素

  • ブドウ糖

  • 水分

が不足し、ATP(アデノシン三リン酸)がうまく作れません。
 

ATPが減少すると、筋肉は弛緩できず収縮したまま固まってしまう状態になり、これが「こり」として感じられます。

 

さらに、ATP不足が続くと、筋膜や筋肉内の痛覚受容器(ポリモーダル受容器)が興奮しやすくなり、軽い刺激でも痛みを感じやすくなります。

 

機能神経学的セルフケアで「脳の疲れ」をリセット

【1】眼球運動トレーニング(前頭葉の活性化)

  • 水平方向に目を左右に10回ずつ動かす

  • 次に上下に10回ずつ

  • 脳幹・視床・前頭前野を刺激し、姿勢制御にも効果

     

【2】片脚立ち+深呼吸(前庭系と姿勢の協調)

  • 片脚で10秒立つ(左右交互に)

  • その間にゆっくり深呼吸

  • 小脳・脳幹のバランス機能と前頭前野の安定化

     

【3】鼻呼吸・横隔膜呼吸(ATP産生の促進)

  • 鼻から息を吸い、5秒かけて口から吐く

  • お腹が動くように意識する

  • 酸素供給量を増やし、筋代謝を高める

     

セルフでできるツボ刺激

● 肩井(けんせい)

  • 首と肩の中間あたり

  • 僧帽筋の緊張をゆるめ、血流改善

     

● 風池(ふうち)

  • 後頭部、耳の後ろにあるくぼみ

  • 後頭下筋群を緩め、自律神経を調整

     

● 合谷(ごうこく)

  • 手の甲、親指と人差し指の間

  • 交感神経の緊張を鎮め、全身の緊張を和らげる

 

指でゆっくり5秒間押して離すのを5回ほど繰り返すと、脳と体のリズムが整いやすくなります。

 

鍼灸治療の神経学的な有効性

【1】求心性入力による中枢神経の再構築

鍼灸は皮膚・筋膜・腱から求心性刺激を入れることで、脊髄〜視床〜大脳皮質へと神経活動を調整し、「感覚の誇張」を抑えることができます。

 

【2】自律神経系の再調整

  • 鍼による微細な刺激が迷走神経や交感神経系に作用

  • 内因性オピオイドやセロトニンの分泌を促進

  • 心拍変動(HRV)改善により自律神経バランスを回復

     

【3】局所ATP産生の促進

刺鍼部位で微小な損傷が起こると、ミトコンドリア活性が高まり、局所ATP産生と血流増加が確認されています。

これにより、固まった筋肉が「酸素とエネルギーを受け取れる状態」に戻りやすくなります。


 

まとめ:肩こり=“脳疲労”のサインとしての視点を

多くの人は、肩こりを単なる「筋肉疲労」として片付けてしまいがちですが、実際には

  • 脳の過労(前頭前野・小脳の疲労)

  • 感覚過敏(中枢性感作)

  • 血流調整不全(交感神経過緊張)

  • ATP不足(代謝の停滞)

といった神経学的な背景が複雑に絡んでいます。
 

そしてそれらを包括的に整える手段として、鍼灸は脳・自律神経・代謝・感覚の調整に働きかける“脳と体をつなぐ治療”として高く評価されています。

「マッサージしても治らない肩こり」の背後には、脳のサインが隠れているかもしれません。

ぜひ一度、神経学と鍼灸の視点からアプローチしてみてください。


 


◆ 出典・参考文献

  1. Takahashi T. (2011). Mechanism of acupuncture on neuromodulation in the gut—a review. Neurological Research, 33(1), 1-7.

  2. Kaptchuk TJ et al. (2002). Acupuncture and the placebo effect. BMJ, 325(7368), 1247–1250.

  3. Napadow V et al. (2005). The brain circuitry underlying the temporal summation of pain. Pain, 120(1-2), 93–102.

  4. 日本自律神経学会 編 (2020). 自律神経と痛み. 医歯薬出版.

  5. Langevin HM et al. (2006). Connective tissue: a body-wide signaling network?. Medical Hypotheses, 66(6), 1074–1077.

     

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