予約はこちら

〒573-1146 大阪府枚方市牧野阪1-17-10 プラリア牧野阪1F
牧野駅から徒歩2分 院前に無料駐車場2台あり
*当院ホームページの内容は全て院長が執筆・監修しています。

受付時間 日祝
10:00~15:00 × ×
17:00~20:30 × × ×

お気軽にお問合せ・ご相談ください
*施術中は自動応答になります

072-896-7677

こんにちは。
大阪府枚方市にある「はる鍼灸整骨院」の院長の島井 浩次です。


当院には、仕事と家事・育児の両立に疲れ果てた方が、身体の悲鳴に気づかず来院されるケースが多くあります。

今回はそんな中のひとつ、2人のお子さんを育てながらフルタイムで働く30代女性の症例をご紹介します。

ただの“腰痛”だと思っていた痛みが、なぜ日常生活まで蝕んでいったのか。

そして、その回復のプロセスには、意外な脳の働きが関係していました。

 

 

■「もう少しだけ…」と目を閉じたまま、朝が始まる
 

目覚ましのアラームが鳴る数分前——

彼女は、布団の中で目を閉じたまま、今日これから起こる出来事を脳内でシミュレーションしていました。

隣には、年中の息子が寝返りを打ってぐずぐず。

夜泣きで何度も起こされた記憶が、まだ身体に残っている。

「またちゃんと眠れなかったな…」


ゆっくり身体を起こして台所へ。

ご飯を炊きながらお弁当の準備、同時に朝ごはんも並行して進める。

登校班の集合時間に間に合うように、小1のお姉ちゃんに声をかけながら支度を急かし、下の子の着替えと歯磨き、トイレの確認。

保育園の連絡帳を書き、バッグの中身をチェック。

おむつと着替え、タオルや連絡帳も忘れずに。


洗濯機を回す音を背中に聞きながら、息子の靴下を探して家中をウロウロ。

ようやく出発の準備が整う。


朝7時半、ご主人が下の子を保育園に送りに出発し、娘は登校班で小学校へ。

ようやく訪れた静かな数分間。

「…ふぅ」と吐いた深いため息と一緒に、腰に鈍い痛みが残っているのを感じる。

その感覚は、ここ数ヶ月ずっとあった。

 

 

 

■「座ってるだけなのに…」とため息が漏れる日中
 

出勤準備を終えて会社へ向かう。

職場では、朝から晩までパソコンの前で資料作成やメール対応。

座ったまま、ほとんど身体を動かさずに何時間も過ぎていく。


「最初はただの肩こりだと思ってたんです」

彼女はそう話していました。

長時間のデスクワークで肩や背中が重いと感じるのは、誰にでもよくあること。

でもそのうちに、「なんか腰が重いな」と思うことが増えてきて、

朝起きたときには腰が固まったような鈍痛を感じるようになり、

座っていると、今度は右のお尻から太ももの裏にかけてピリピリとした“しびれ”が出てくるようになっていった。

 

 

 

■帰りの“戦い”と、やっと座れた夜の違和感
 

午後5時、仕事を終えた彼女は、すぐに車で保育園と学童へ。

2か所を回って子どもたちをピックアップし、帰り道に買い物。

後部座席では兄弟げんかが始まり、「ママ~!」の呼び声に片手で運転、片手でなだめながらの帰宅。


家に着けば、夕飯作り・お風呂・宿題・洗濯・寝かしつけ……

怒涛のような家事と育児のルーティンをこなし、ようやくリビングのソファに腰を下ろしたとき。

ズキン。

腰が痛む。

ジワ~。

右のお尻から脚にかけて、しびれが広がっていく。


「今日もまたか…」

そう思いながら、冷えたお茶をひとくち。

目の前では、兄弟が「寝たくない~」と枕投げ。

 


 

■整形外科での検査と「異常なし」の安心
 

痛みとしびれに不安を感じ、彼女は整形外科を受診。

MRIやレントゲンなどの画像検査を受けた結果——

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、内臓疾患や腫瘍などの異常はなし。


この「異常なし」という結果は、私たち施術家にとっても非常に大切な情報です。

なぜなら、重大な病変(がんや感染症など)がないことが明確になったうえでの慢性症状は、安心して鍼灸や神経機能からのアプローチが行えるからです。

自己判断で済ませず、まずはきちんと検査を受ける。

これはどんな不調にも共通する、大切なステップです。

 

 

 

■「これ以上、放っておいたらダメかも」——心のブレーキが外れた瞬間


痛みやしびれは、日を追うごとに強くなっていた。

だましだまし過ごしてきたけれど、最近は子どもを抱っこするのも億劫に感じるように。

座っている時間が長いと、仕事に集中できない。

気づけば「痛み」に気を取られている時間が、日常を侵食していた。

「もう少し我慢すれば治る」

「寝たら楽になるはず」

そう思っていたけど、そんな日が来る気配はない。

そんなとき、ご主人が言った。

「俺、通ってるところ、けっこう良いよ。行ってみたら?」

彼女は、当院を訪れる決心をされました。

 

 

 

■ご主人からの紹介で来院へ

彼女が当院にいらっしゃったのは、ご主人の勧めがきっかけでした。

実はご主人も、過去に腰痛で通院されており、現在は月1回のメンテナンス通院を継続中。


「先生のところでだいぶ良くなったよ」と言われ、

彼女も半信半疑ながら足を運んでくれたそうです。

 

 

 

■検査でわかった“隠れた原因”——それは「脳」だった
 

問診後、詳しい検査を行いました。以下が主な所見です。
 

◆筋・筋膜のトリガーポイント(押すと響くポイント)

  • 右中殿筋・梨状筋・腰方形筋に強度の圧痛
  • 押すと「そこそこ!それ!」と強く反応あり
     

◆バランス・姿勢制御機能の検査

  • ロンベルグ(閉眼立位)や継足歩行で大きなふらつき
  • オルタネイト(交互動作)、鼻指鼻検査で左右差が著明
     

◆眼球運動の検査

  • サッケード(瞬間的な眼球運動)で片側のオーバーシュート(行き過ぎ)が出現
  • 輻輳反射(両目を内寄せる動き)では片方の眼が寄りにくく維持できない
     

◆感覚の検査

  • 触覚:右がやや鈍い
  • 痛覚:右太もも裏〜脛で軽度の過敏化
     

これらの所見から浮かび上がってきたのは、

小脳と大脳皮質(感覚・運動制御に関わる脳のエリア)の機能低下によるバランス・筋トーン・感覚異常です。

 

 

 

■なぜ「脳の機能低下」が痛みやしびれを起こすのか?

長時間のデスクワークや育児の負担、睡眠不足などが重なると、脳の“調整役”である小脳や大脳皮質がうまく働かなくなることがあります。
 

◆小脳の役割とは?

  • 筋肉の協調運動・姿勢の安定・眼球運動の制御に関与
  • 小脳がうまく働かないと、必要以上に筋肉が緊張しやすくなる
     

◆大脳皮質の感覚野・運動野

  • 体の位置や刺激を正確に感じ取り、動かす指令を出す
  • 機能が低下すると、一部の筋肉が過剰に働き、他はサボる→痛みやしびれの元に
     

加えて、座位が長いことで殿筋や腰部が慢性的に圧迫され、

不動による感覚入力の低下も重なり、

結果として、筋膜内のトリガーポイントが形成され、

痛みやしびれの感覚が引き起こされていたと考えられます。

 

 

 

■行った施術:鍼と神経機能の“再教育”
 

◆トリガーポイント鍼治療

  • 中殿筋・梨状筋・腰方形筋へ鍼を使用
  • 深部の筋膜にアプローチし、血流と神経伝達を改善
     

◆機能神経学的アプローチ

  • 小脳系や前庭系への刺激(視覚・前庭・体性感覚統合)
  • 眼球運動訓練(サッケード、パースート、輻輳)
  • バランストレーニング(片脚立ち、バランスパッドなど)
  • 呼吸の再教育と胸郭の可動性向上

 

 

 

■施術経過と変化:週1回 × 9回のストーリー

 

  • 初回~3回目
     まずはトリガーポイント鍼と機能神経学アプローチを組み合わせて施術開始。
     朝の腰の痛みが徐々に軽くなり、ベッドからの起き上がりが少し楽に。
     座っているときのしびれ感はまだ強く残っているものの、
    「張ってる感じが前よりマシかも」と本人も変化を実感し始める。

     

  • 4回目~6回目
     お尻から太もも裏のしびれが明らかに減少。
     学童や保育園の送迎で車の乗り降り時も
    「あれ?そういえば痛くない」と感じる場面が増える。
     同時に、バランスや眼球運動の訓練によって、姿勢が安定してきた印象あり。
     夜の寝つきも少しスムーズになったとの報告。

     

  • 7回目~9回目
     腰の痛みやしびれは、日常生活ではほぼ気にならないレベルにまで軽減。
     仕事中に長時間座っても大丈夫な時間が増え、集中力も戻ってきた。
     保育園で子どもを抱き上げるときの不安もなくなり、
    「日常の中で自然と笑顔が増えた気がする」と話されるように。




     

 

■忙しいあなたへ伝えたいこと

この症例は、単なる「腰痛」ではありませんでした。

日々の生活習慣、身体の使い方、そして“脳の働きのズレ”が積み重なって生まれた複雑な症状でした。


「腰が痛い」「足がしびれる」といったサインは、身体からの“SOS”であり、同時に“気づきのチャンス”でもあります。

頑張るあなた自身が、心身の不調に耳を傾けること。

その選択が、家族にとっても、将来の自分にとっても、とても大きな意味を持ちます。

 

 

 

■まとめ

  • 画像所見「異常なし」でも、症状の背景には脳の機能低下や感覚異常が潜むことがある
  • 長時間の同一姿勢、不動、睡眠不足、ストレスが積み重なると、小脳・感覚野の働きに偏りが出やすい
  • 鍼治療と機能神経学アプローチで脳-身体の再統合を図ることで、症状は改善へ
  • 定期的なメンテナンスで再発を予防
     

 


参考文献

  1. Simons DG, Travell JG, Simons LS. Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual.

  2. Haavik N, Murphy B. The role of spinal manipulation in addressing maladaptive neural plasticity. J Electromyogr Kinesiol.

  3. Manto M, et al. The cerebellum: a new key structure in the pathophysiology of chronic pain. Rev Neurol (Paris).

  4. Butler DS, Moseley GL. Explain Pain.

  5. Le Pera D, et al. Inhibitory and excitatory pain mechanisms in the human brainstem and spinal cord. J Neurosci.


 

お気軽にご予約・お問合せください

受付時間
月火木金:10:00~15:00/17:00~20:30
土:10:00~15:00
定休日
水曜・日曜・祝日

ダブルブッキング防止のため
LINE・メールではご予約はお受けできません。
「かんたんWEB予約」をご利用ください。

新着情報・お知らせ

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・ご予約

072-896-7677

「かんたんWEB予約」は24時間受付中です。お気軽にご利用下さい。

<受付時間>
月火木金:10:00~15:00/17:00~20:30
土:10:00~14:00
※水曜・日曜・祝日は定休

はる鍼灸整骨院

住所

〒573-1146 大阪府枚方市牧野阪1-17-10 プラリア牧野阪1F

アクセス

京阪「牧野駅」から徒歩2分
院前に専用駐車場:2台

受付時間

月火木金:10:00~15:00/17:00~20:30
土:10:00~14:00

定休日

日曜・祝日・水曜