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はじめに

こんにちは。大阪府枚方市にある「はる鍼灸整骨院」の院長 島井 浩次です。


「このままだと、いつか倒れてしまうかもしれない…。」

そんな不安が頭をよぎるようになったのは、ほんの数カ月前のことだったそうです。

彼は30代の薬剤師。

処方箋薬局で、毎日何十人もの患者さんと向き合いながら、立ちっぱなしで一日を終える生活を続けていました。

「腰が重いな」「肩がこるな」

それくらいなら我慢できる。

仕事をしていれば誰だって多少は痛いものだ、と自分に言い聞かせて。

でも、その日常に少しずつ異変が混じり始めました。

地面がふわっと浮くようなめまい。突然、耳の奥で「キーン」と響く高い金属音のような耳鳴り。

手足は冷たく、冬でもないのに「氷みたい」と妻に言われるほど。

「薬剤師だから、市販薬や体の仕組みは人並み以上にわかっているつもりでした。

でも、薬ではどうにもならない不調があるなんて、正直思ってもみなかったんです。」

この物語は、そんな彼が鍼灸治療と機能神経学的アプローチを通じて、

「ふわふわと揺れる世界」から「しっかりと地面を踏みしめる感覚」を取り戻すまでの記録です。

 

 

来院時の状態 見えない不調の積み重ね

 

仕事の背景

処方箋薬局での勤務は、思っている以上に体力と集中力を使います。

数十種類の薬剤を扱い、調剤や監査、患者さんへの服薬指導を行いながら、ほとんど座ることなく立ったまま一日が過ぎる。

「ずっと立ちっぱなしだと、足は棒のようになるし、腰は夕方には張りつめたゴムのようになります」と彼は言います。

家に帰ると、ソファに座り込んで動けない日もありました。

「もう少し横になっていたい」と思いながらも、家事を手伝わなければならない。

仕事と家庭の狭間で、体はずっと休む暇を失っていたのです。

 

 

 

主な症状

  • 腰痛・肩こり
    鉄板を背負っているような肩の硬さと、夕方になるほど強くなる腰のだるさ。
    特に肩こりは呼吸を浅くし、「胸が常に締め付けられているよう」と本人は表現していました。

     

  • めまい(浮遊性)
    「自分がふらつくというより、周りが揺れているような感覚」。
    地面がふわふわと動くようで、立ち仕事の最中に特に強く感じる。

     

  • 耳鳴り(高音性)
    1日に数回、突然「キーン」と耳の奥で響く高音性の耳鳴り。
    数十秒でおさまりますが、患者さんとの会話に集中できないことがありました。

     

  • 手足の冷え
    特に仕事終わりには、指先が氷のように冷たくなる。
    季節を問わず感じ、寝るときも靴下が欠かせない状態。

     

耳鼻科を受診しましたが、検査結果は「異常なし」。

「自律神経の乱れかもしれませんね」と言われたものの、具体的な治療法は提案されませんでした。

 

 

 

検査所見 神経系が示したヒント
 

当院で実施した機能神経学的検査では、以下の所見が得られました。
 

1. 酸素飽和度・血圧の左右差

左右の腕で計測した血圧・酸素飽和度に明らかな差が見られました。

これは、交感神経の重要な中枢であるIML(中間外側核)の活動に左右差があることを示唆します。

交感神経は血管を収縮・拡張させる「自律神経のアクセル」です。

左右で活動に差があれば、血流の分布がアンバランスになり、「冷たい手足」「立っているとめまいが出る」といった症状につながります。

 

 

2. 顔面の感覚(痛覚)の左右差

三叉神経領域での感覚検査で、痛覚に左右差がありました。

顔面運動には問題がなかったため、末梢神経そのものではなく、感覚を統合する大脳皮質の処理に左右差がある可能性が高いと考えられます。

脳は「体の地図」を作っており、左右で情報処理が不均衡になると、自律神経調整にも影響を及ぼします。

 

 

3. 小脳機能の左右差

  • ロンベルグテスト:閉眼時の揺れが片側で優位に大きい。
  • オルタネイト運動:左右でスピード・正確性に差があり。
  • 鼻指鼻試験:オーバーシュート(目標を越える動き)が特定側に顕著。
     

小脳は「体のバランスの司令塔」。

この左右差は、平衡感覚や眼球運動の微妙なずれを生み、めまい・耳鳴りの一因となります。

 

 

 

専門解説:なぜこのような症状が起きたのか?
 

① 交感神経過緊張と血流障害

長時間の立ち仕事は、交感神経を常にオンにする状態です。

交感神経の中枢であるIMLが過活動になると、血管は収縮し、末梢への血流が滞ります。

特に小脳や内耳への血流が低下すると、前庭神経系が敏感になり、めまいや耳鳴りが起こりやすくなります。

 

 

② 小脳—皮質ネットワークのアンバランス

小脳は運動調整だけでなく、自律神経にも関与しています。

最近の研究では、小脳が大脳皮質を介して視覚—前庭—体性感覚の統合を行うことが明らかになっています。

左右差が大きいと、脳は「左右で異なる世界」を感じ取り、揺れるようなめまいを引き起こします。

 

 

③ 顔面感覚の左右差と自律神経

三叉神経は顔面感覚だけでなく、脳幹を介して自律神経中枢とも密接に連絡しています。

痛覚に左右差があるということは、脳幹レベルでの交感・副交感神経調整にも影響を与えやすい状態です。

 

 

 

施術方針 鍼灸と機能神経学の相乗効果
 

1. 鍼灸治療

  • 筋緊張の緩和と自律神経への影響
    大腰筋・中殿筋・僧帽筋上部線維など、トリガーポイントに刺鍼。

    鍼刺激は筋肉の硬さを取るだけでなく、筋紡錘やゴルジ腱器官を介して脳に「リラックス信号」を送る効果があります。

     

  • 冷え症へのアプローチ
    下腿三頭筋や足底筋への鍼刺激は、末梢血管拡張を促し、交感神経優位を和らげます。



     

2. 機能神経学的アプローチ

  • 小脳リハビリ
    オルタネイト運動や視覚追従課題で、機能低下側を重点的に刺激。
    小脳の可塑性を促進し、左右差を是正しました。

  • IML左右差の調整
    耳介迷走神経刺激や呼吸誘導で、交感神経と副交感神経のバランスを整えました。




     

経過 11回の施術がもたらした変化

  • 1~3回目
    腰痛・肩こりが改善。「肩が軽いと、呼吸がしやすい」と笑顔に。めまいはまだ残存。

  • 4~7回目
    めまいが減少。「昨日は耳鳴りが鳴らなかった」と実感する日が増える。

  • 8~11回目
    めまい・耳鳴りともにほぼ消失。冷えも改善し、靴下なしで眠れるように。

     

その後のメンテナンス

疲労がたまると軽いふらつきが再発することがあるため、月1回のメンテナンスを継続中。

「以前のように仕事を休むほどではなくなりました」と本人は話しています。

 

 

 

まとめ

薬剤師として、毎日人の健康を支えていた彼が気づいたこと。

それは、「自分の健康を後回しにしてはいけない」という当たり前の事実でした。

もし同じように「病院では異常なし」と言われても不調が続くなら、

その裏には、神経ネットワークの小さなアンバランスが隠れているかもしれません。

 

 


参考・出典論文

  1. Macefield VG, Henderson LA. Identification of sites of sympathetic outflow during sympathetic nerve activity in humans. Auton Neurosci. 2019.

  2. Carrick FR. Neurophysiological rehabilitation strategies in functional neurological disorders. Front Neurol. 2020.

  3. Budgell B, Hirano F. Responses of neck muscle spindle afferents to mechanical and temperature stimulation. J Manipulative Physiol Ther. 2001.

  4. Benarroch EE. The central autonomic network: functional organization, dysfunction, and perspective. Mayo Clin Proc. 1993.


 

 

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