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~科学でひも解く鍼灸の神経学的メカニズム~

自律神経失調症とは何か?

「なんとなくだるい」

「寝ても疲れが取れない」

「動悸やめまいがする」

「緊張するとお腹が痛くなる」……。

こうした症状に思い当たる方は少なくありません。

これらは、医学的に明確な病変が見つからないにもかかわらず、身体に多様な不調が現れる自律神経失調症の特徴です。

私たちの身体には、意思とは無関係に内臓や血管などを調節する「自律神経」が働いています。

この自律神経には、活動を高める「交感神経」と、リラックスや休息を司る「副交感神経」があり、バランスをとりながら24時間働き続けています。


しかし、ストレス・生活リズムの乱れ・過労・ホルモンバランスの変化などによって、この2つの神経のバランスが崩れると、全身にさまざまな不調が起こります。

これが「自律神経失調症」の本質です。


 

なぜ鍼灸が自律神経に効くのか?

では、なぜ鍼灸治療がこの自律神経の乱れに効果を発揮するのでしょうか?その秘密は、神経系の反射回路と神経可塑性(神経の機能が変化する仕組み)にあります。

 

1. 求心性線維への刺激と中枢反応

鍼灸刺激は、皮膚や筋肉に存在する「求心性神経線維(感覚神経)」を刺激します。特にAβ線維(触圧覚)、Aδ線維(鋭い痛み・温度感覚)、C線維(鈍い痛みや自律機能)への刺激が中枢神経に情報として送られ、脳幹の自律神経中枢(視床下部・延髄)や脊髄後角に影響を与えることがわかっています。

 

2. 交感神経の過活動を抑える作用

慢性的なストレス状態では交感神経が過剰に活性化し、血管収縮、血流低下、内臓機能の抑制、睡眠障害などが起きます。

鍼刺激は脊髄レベルや延髄のロストル腹外側延髄(RVLM)などに作用し、交感神経の活動を調節します。


動物実験では、鍼刺激によって交感神経節のノルアドレナリン放出が減少することや、副交感神経の迷走神経活動が上昇することが確認されており、これにより心拍数・血圧が安定し、胃腸の働きが回復するのです。

 

3. 迷走神経と抗炎症反応の活性化

副交感神経の中でも重要な役割を担うのが「迷走神経」です。これは脳幹から全身の内臓へと伸び、呼吸・心拍・消化・免疫に深く関与しています。

鍼刺激は、この迷走神経を活性化することで、いわゆる「炎症反射(inflammatory reflex)」を介して全身の慢性炎症を抑制する働きがあるとされています。

 

この反射は、迷走神経が脾臓を経由して炎症性サイトカイン(TNF-αなど)の産生を抑えるという、近年注目されている神経―免疫の調整機構です。

 

臨床での効果:患者の声と研究報告

実際の鍼灸治療においても、自律神経失調症の患者からは以下のような改善報告が多く見られます。

  • 不眠・早朝覚醒の改善
    → 鍼治療後に副交感神経優位となり、睡眠の質が向上。

  • 消化不良・食欲不振の改善
    → 迷走神経の活性化で胃腸の運動・分泌が正常化。

  • 動悸・不安感の軽減
    → 交感神経の過緊張が和らぎ、心拍数の安定が得られる。

  • 慢性疲労・倦怠感の改善
    → 血流改善と筋緊張の緩和により、全身のエネルギーバランスが回復。

 

近年の研究でも、心拍変動解析(HRV)を用いて、鍼刺激が副交感神経活動を高めることが客観的に示されています。

たとえば、耳介迷走神経刺激(auricular acupuncture)や、背部兪穴への低周波鍼通電などでHRV指数が有意に改善することが報告されています。

 

鍼灸の適応と注意点

鍼灸治療は、薬に頼らずに身体本来の自己調整力を高める方法として、安全性が高く、副作用も少ないとされています。

しかし、以下のような点に留意する必要があります。

  • 過度の刺激は逆効果となることもあるため、適切な刺激量が重要

  • 自律神経の反応性が個人差が大きいため、施術者の熟練が必要

  • 器質的疾患(心疾患・脳血管障害など)が疑われる場合は医師の診断が優先されるべき

 

自律神経の乱れは、単なる身体の不調ではなく、「生活習慣」「心理的ストレス」「ホルモンバランス」など複合的な背景を持つため、鍼灸だけでなく、カウンセリングや生活改善との組み合わせが効果的です。

 

まとめ:鍼灸は“神経の再調律”を助けるツール

鍼灸治療は、単に「ツボに鍼を刺す」という行為ではありません。それは、神経系に対して精緻に働きかけ、交感・副交感神経のバランスを整え、身体の恒常性を取り戻す“神経の再調律”の手法です。

科学的な裏付けと臨床的実績が積み重なる中で、鍼灸は単なる伝統医療ではなく、現代のストレス社会における心身のセルフケア法として再評価されつつあります。

「なんとなく不調」に悩む方こそ、一度鍼灸の扉を開いてみてはいかがでしょうか。


参考・出典文献

 

  1. Langevin HM, et al. "Mechanical signaling through connective tissue: a mechanism for the therapeutic effect of acupuncture." FASEB Journal, 2006.

  2. Li M, et al. "Electroacupuncture activates vagal-adrenal axis to exert anti-inflammatory effect." Neuron, 2021.

  3. Takahashi T. "Mechanism of acupuncture on autonomic nervous system." Autonomic Neuroscience, 2011.

  4. Napadow V, et al. "Autonomic and limbic brain response to acupuncture stimulation: an fMRI study." Autonomic Neuroscience, 2013.

  5. Huang T, et al. "Effect of acupuncture on heart rate variability: a systematic review." Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2020.

  6. 中村謙介 他「鍼灸刺激による自律神経系への影響とそのメカニズム」『全日本鍼灸学会雑誌』2019年

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