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視覚・呼吸・神経・循環・脳機能から読み解く

現代社会では、パソコンやスマートフォンを使った長時間のデスクワークが日常となっています。

しかし、それに伴って増加しているのが「腰痛」です。

腰痛は、単なる筋肉の疲労だけでなく、さまざまな身体の機能が複雑に絡み合って引き起こされているのです。

本稿では、視覚の過負荷、呼吸機能の低下、自律神経の乱れ、足部の感覚刺激低下、脳の機能変化、血流の障害など、腰痛を引き起こす根本的なメカニズムについて、できるだけわかりやすく解説していきます。

視覚の酷使がもたらす姿勢の崩れと筋緊張

デスクワークに欠かせないのが、パソコンなどのディスプレイです。私たちの身体は、視覚に強く影響を受ける構造になっています。

長時間のスクリーン視聴により、眼球運動が制限され、焦点を固定し続けることになります。

これにより、頭部が無意識に前方へ突出し、「ストレートネック」と呼ばれる状態になります。

この姿勢は背骨の自然なS字カーブを崩し、首から背中、腰にかけての筋肉に過剰な緊張をもたらします。とくに腰部では、骨盤が後傾しやすくなり、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)などの腰部支持筋が持続的に働くことになります。

この筋肉の過緊張が、慢性的な疲労・炎症を引き起こし、腰痛の一因となります。


また、視覚からの情報が過多になると、交感神経が優位になり、筋肉が収縮しやすい状態に傾きます。

これは無意識の緊張を生み、慢性的な「力み」として腰部に現れます。


 

呼吸機能の低下と自律神経の乱れ

長時間の座位姿勢、とくに前屈みの姿勢は、横隔膜の可動性を著しく低下させます。

横隔膜は、呼吸に関与するだけでなく、姿勢の安定性にも深く関わっている重要な筋肉です。

呼吸が浅くなり、胸式呼吸が主体になると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になります。

これは、血管収縮、筋緊張亢進、内臓機能の低下などをもたらし、身体全体に悪影響を及ぼします。

とくに腰部は「ストレス反応」が出やすい部位の一つであり、自律神経の乱れは、腰痛を慢性化させる要因になります。


さらに、呼吸が浅いと体幹の安定性も失われます。

体幹のコアである腹横筋や多裂筋は、横隔膜との協調により機能しています。

この協調性が失われると、腰椎が不安定となり、代償的に周囲の筋が緊張し、痛みを誘発しやすくなります。


 

足部からの刺激低下が脳機能に与える影響

立っているときには、足裏からの感覚刺激が脳に絶えず入力され、大脳皮質の感覚野や運動野を活性化しています。

しかし長時間座っていると、この足部からの刺激が極端に減少します。

結果として、脳への感覚入力が乏しくなり、身体の位置感覚(固有感覚)が低下しやすくなります。

このような状態が続くと、「身体地図」が脳内でぼやけ、姿勢制御が不安定になります。

さらに、感覚情報の不足は、脳幹から脊髄へと下行する「抑制系」―すなわち痛みを制御するシステム―の働きを低下させることが分かっています。


これにより、本来は無害な筋肉の張りや疲労も、「痛み」として強く感じやすくなります。

つまり、感覚入力の低下は、脳の痛み処理機構のバランスを崩し、腰痛の「脳化=中枢性の痛み」に移行しやすい要因になります。


 

臀部(お尻)の圧迫による血流障害

座位姿勢では、臀部が体重によって圧迫されます。

この状態が長時間続くと、臀筋群への血流が著しく低下し、筋肉に酸素と栄養が届きにくくなります。

血流が不足すると、筋肉内に老廃物や代謝産物が蓄積しやすくなり、筋硬結(しこり)やトリガーポイントが形成されやすくなります。

これらは腰痛の原因として知られており、坐骨神経の走行と関係する場合には「坐骨神経痛」様の症状を引き起こすこともあります。


また、臀筋が硬くなると骨盤の動きも制限され、腰椎への負荷が増加します。

骨盤が動かなければ、その分の可動性を腰で補うことになり、椎間関節や椎間板に過度なストレスが集中し、腰痛を誘発しやすくなります。


 

調整系・抑制系の低下と慢性腰痛への移行

ここまでに挙げた視覚、呼吸、感覚刺激、血流の低下などはすべて、身体の「自己調整能力」を弱める方向に働きます。

脳と身体は絶えず相互にフィードバックを送り合ってバランスを保っていますが、そのシステム自体が乱れてくると、痛みに対する「閾値」が下がり、本来ならば痛みとして認識しない程度の刺激も、強く感じるようになります。

このように、腰痛は単に「腰の問題」ではなく、視覚からのストレス、呼吸・自律神経、足裏感覚、血流といった全身の機能の低下が複雑に関係しあって起こる「全身性の問題」なのです。

これらの複合的な要因により、脳の痛み制御システムが破綻し、腰痛が慢性化・難治化していくというわけです。


 

【まとめ】腰痛は全身の「低下」が引き起こす

長時間のデスクワークによる腰痛は、姿勢や筋肉の問題にとどまりません。

視覚過負荷による頭位の変化、呼吸と自律神経の乱れ、足部からの感覚入力の低下、それによる大脳皮質の活動低下、さらには臀部の血流障害など、多くの要因が絡み合っています。

これらの問題を解消するには、単なるストレッチやマッサージでは不十分なこともあります。

呼吸法の改善、足裏刺激の導入(インソールや足裏トレーニング)、デスク環境の見直し、視線の位置の調整、こまめな立位など、多角的な対処が必要です。


腰痛を「体のサイン」ととらえ、全身の機能を再活性化させることこそが、真の改善への第一歩になると考えられます。


 


参考文献・関連論文

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  2. Apkarian, A. V., et al. (2009). Pain perception in relation to emotional learning. Current Opinion in Neurobiology, 19(4), 565–571.

  3. Moseley, G. L. (2007). Reconceptualising pain according to modern pain science. Physical Therapy Reviews, 12(3), 169–178.

  4. Takakusaki, K. (2013). Neurophysiology of posture and gait control. Brain and Nerve, 65(7), 775–789.

  5. Woolf, C. J. (2011). Central sensitization: Implications for the diagnosis and treatment of pain. Pain, 152(3), S2–S15.

  6. Inui, N., & Kakigi, R. (2012). Pain perception and its modulation in the human brain. Brain and Nerve, 64(5), 503–510.

     

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