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こんにちは。「はる鍼灸整骨院」の院長、島井です。

毎朝、布団から出ようとしても体が重く、頭がくらくらして起きられない。

無理に立ち上がろうとすると心臓がバクバクして、息苦しくなってしまう…。

そんな状態が続き、学校に行けなくなってしまった中学生の男の子が、当院に来院しました。

「怠けてるんじゃないの?」

「気合いでなんとかなるでしょ」


そんな心ない言葉に、本人も親御さんも傷ついていました。

でもこれは“心の問題”ではなく、れっきとした“神経系の機能不全”なのです。


今回は、「起立性調節障害(OD)」と呼ばれるこの状態に対し、神経調整によってどのように回復していったか、その症例を中心に、神経学的なメカニズムも交えながらわかりやすく解説していきます。

 

1,起立性調節障害とは?

 

〜“自律神経のブレーキとアクセル”がうまく働かない〜

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation, OD)とは、立ち上がった時に血圧がうまく保てず、脳への血流が低下してしまう状態のことを言います。

私たちの体は、立ち上がると重力によって血液が下半身に引っ張られます。

それを補うために、脳は自律神経を介して「血管を収縮させる」「心拍数を上げる」などの調整を自動的に行います。

いわば、アクセルとブレーキを駆使しながら、車をスムーズに運転するようなものです。

しかし、起立性調節障害ではこの自律神経の調整がうまくいかず、「立つと血圧が下がる」「脳への血流が減る」→「めまい・動悸・倦怠感・意識がぼんやりする」などの症状が現れるのです。


 

「朝だけ調子が悪い」のはなぜ?

この症状の特徴は、「朝だけ調子が悪い」という点です。

夜になると少し元気になり、「ゲームはできるけど、朝は起きられない」というようなこともよくあります。これは本人の怠けではありません。

夜間、副交感神経(体を休める神経)が優位になると、交感神経(活動のスイッチ)が低下したままになり、朝起きる時間になっても交感神経が切り替わらないのです。

ちょうど、冷えきったエンジンでアクセルを踏んでも車が前に進まないような状態。

 

 

 

2,ケース紹介:中学2年生の男子生徒(14歳)

症状

  • 中学1年の終わり頃から「朝起きるのがつらい」「立ち上がると動悸がする」
  • 学校に行けない日が週に3~4日
  • 病院で「起立性調節障害」と診断。薬(メトリジン)を処方されるが改善せず
  • 症状の悪化とともに「スマホ時間が増え」「不安・イライラ」も強くなる
     

当院での評価と施術方針
 

1. 神経学的検査

  • 眼球運動:スムーズさに欠け、眼振あり
  • 姿勢保持:前庭系と小脳の機能低下を示唆
  • 頚部筋群・横隔膜の柔軟性低下
  • 交感神経過緊張(対光反射、血圧左右差、酸素飽和度、)

     

2. 問題の背景にあるもの

  • スマホによる視覚過負荷
  • 呼吸の浅さによる酸素不足
  • 睡眠の質の低下
  • 情報過多による前頭前野の過活動
  • 身体活動量の低下による重力刺激の不足

 

 

3,神経調整アプローチの内容


◎ 鍼灸による迷走神経刺激

鍼刺激により、耳介枝や胸鎖乳突筋付近を介して迷走神経を活性化。副交感神経を整えるだけでなく、最終的に大脳皮質への投射から下行性系の活性化に繋がり、脳幹(延髄・橋)にある心拍・血圧中枢にも刺激が伝わることで、全身の自律神経バランスが調整されやすくなります。

 

◎ 頭部への微細刺激

視覚・前庭統合トレーニング、頬骨や前頭骨への軽い振動刺激などを通じて、小脳・前庭神経核・視床・大脳皮質を順に再活性化

 

◎ 呼吸筋への介入

特に横隔膜と胸鎖乳突筋にアプローチし、呼吸を深く安定させることで、バランスを整え脳血流を改善します。

これにより「目覚めの悪さ」や「思考のもやもや」が軽減します。
 

 

 

4,回復の経過


【初回】

施術後、呼吸が深くなり「頭がスッキリする感じがする」と本人。夜はぐっすり眠れたと報告あり。



【1ヶ月後】

  • 起立時のふらつきが軽減
  • スマホ使用時間を制限、代わりに散歩を導入
  • 学校は週3回登校可能に

     

【2ヶ月後】

  • 朝、自分で起きられるように
  • 体育や部活動にも少しずつ参加
  • 家庭での会話や笑顔も増える

     

【3ヶ月後】

  • 通常登校に戻る
  • 「朝が楽しみになった」と話すように
  • スマホよりも「友達と会うのが楽しい」ことに気づけた




     

5,起立性調節障害の背景にある“神経疲労”

起立性調節障害は、“怠け”や“サボり”ではありません。

神経系の疲労情報過多によるオーバーフロー状態です。

現代の子どもたちは、視覚・聴覚・SNS・ゲームなど、常に脳がオンの状態

それに加えて睡眠不足、運動不足、栄養の偏り、家庭や学校でのストレス…。

まさに
自律神経にとっては嵐の中に放り出されているようなものです。

 

 

6,神経調整で「回復のスイッチ」を入れる

当院では、神経調整を通じて「脳と身体のスイッチをもう一度リセット」し、回復に向かう流れを作っていきます。

それは、まるで再起動ボタンを押すようなもの。

固まって動かなくなったコンピューターも、一度シャットダウンして立ち上げ直すと、また動き出しますよね。

 

 

7,家庭でできるセルフケアのヒント



1. スマホ時間を見直す

目と脳にかかる刺激は、心身に大きな影響を与えます。視覚過剰を防ぐことで、迷走神経系(副交感神経)の過活動も減少します。

 

2. 朝日を浴びる

網膜を通じた日光刺激は、視交叉上核を活性化し、体内時計をリセットします。

自律神経の切り替えにも最適。

 

3. 寝る前の呼吸法

「4秒吸って、6秒吐く」呼吸で、迷走神経を活性化し、副交感神経の優位を作る。

 

 

8,まとめ:もう一度、“生きる力”を取り戻すために


「朝が来るのが怖い」

「なんで自分だけ、こんなにつらいんだろう」
 

そんな思いを抱えていた少年が、少しずつ朝の光に向かって歩き出す姿を、私たちは何度も見てきました。

起立性調節障害は、「病名」に隠れて見落とされがちですが、その背景には神経系の機能低下、情報過多、生活環境のアンバランスといった多くの“現代的問題”が潜んでいます。

だからこそ、「根本からの神経調整」が必要なのです。

私たちは、ただ身体を整えるだけでなく、「自分らしく生きる力」を再び引き出すお手伝いをしています。


 


◇ 出典・参考論文

  • 朝倉勇, 他. 「起立性調節障害の診断と治療」日本小児循環器学会誌. 2021.

  • Stewart JM. "Common Syndromes of Orthostatic Intolerance." Pediatrics. 2013.

  • Freeman R, Wieling W, Axelrod FB, et al. "Consensus statement on the definition of orthostatic hypotension." Clin Auton Res. 2011.

  • Tracey KJ. "Reflex control of immunity." Nat Rev Immunol. 2009.

  • Clancy JA, Mary DA, Witte KK, et al. "Non-invasive vagus nerve stimulation in healthy humans reduces sympathetic nerve activity." Brain Stimul. 2014.


 

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