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〜脳と神経から読み解く、体と心の“つながり”〜

鍼灸と神経学的な視点から、症状の改善を目指している「はる鍼灸整骨院」の院長の島井です。

腰痛や不眠という症状は、実は“脳と神経のサイン”でもあります。

今回は、それを丁寧に読み解きながら改善された40代女性のケースをご紹介します。



はじめに】「眠れない夜と痛む腰」——それは静かなSOSだった

40代女性・Sさんは、当院に来院されたとき、こう語りました。

「夜、布団に入っても腰がジンジンして…眠ろうとすればするほど痛みが気になって、結局また目が覚める。

朝起きても疲れが取れなくて、1日中ボーッとしてます。」

Sさんのように、腰痛と不眠を同時に抱える方は少なくありません。

まるで「身体と脳が互いに足を引っ張り合っている」かのような状態——これには、実は明確な“神経学的メカニズム”が隠れています。

この記事では、Sさんの症状の背景にあった脳神経の働きの乱れや、鍼灸・機能神経学的なアプローチを通じてどう改善していったのか、そのプロセスをストーリー形式でご紹介します。


 

1,悪循環のはじまり:腰の痛みと“夜の敵”

Sさんは、事務職として1日8時間以上、デスクワークに集中する生活を長年続けていました。

「パソコンに向かっていると、気がついたら何時間も動かずに座ってることがあるんです」

この「長時間の静止」は、筋肉だけでなく神経にも深い影響を及ぼします。

動かないことで、筋肉は固まり、血流が悪化。

そしてそれだけではありません——神経への感覚刺激も減り、
脳の感覚野や運動野が“入力不足”の状態に陥ります。
 

神経は“動いてこそ活きる”電線

人間の神経は、まるで「電気の通った電線」のような存在です。

絶えず“動き”という入力を受け取ることで、脳と体のつながりが保たれています。

Sさんのように長時間動かずにいると、感覚入力が減り、脳のマップ(体性感覚地図)がぼやけてしまうのです。

この状態が続くと、脳はわずかな体の違和感も「痛み」として強く認識しやすくなります。

これを感作(sensitization)と呼びます。


 

2,不眠の正体:交感神経が夜も働き続ける

Sさんが訴えた「眠りが浅く、何度も目が覚める」という症状。これは、神経学的には交感神経の過活動と関係しています。

本来、夜になると副交感神経が優位になり、身体はリラックスモードに切り替わります。

しかし、
日中に長時間の座位・眼精疲労・体のこわばりが続くと、脳は常に“戦闘モード”のまま夜を迎えてしまうのです。

Sさんの場合、パソコン作業による眼球運動の低下、呼吸の浅さ、そして不良姿勢によって大脳皮質や脳幹が過緊張状態にありました。


「踏みっぱなしのアクセル」状態

この交感神経の過活動は、たとえるなら「アクセルを踏みっぱなしの車」のような状態。

止まろうと思っても、体は休もうとしてくれません。

結果、Sさんのように「布団に入っても寝つけず、寝ても途中で目が覚める」日々が続いてしまうのです。


 

3,診察と神経学的評価

初診時、私たちはSさんの神経の働きを評価する機能神経学的検査を行いました。

評価の結果、以下のような所見が得られました。

  • 頭部前方位、顎の過緊張

  • 眼球運動(特に滑動追従性)の低下

  • 腰部多裂筋の筋出力の低下

  • 胸郭の動きが乏しく、呼吸が浅い

  • 頭位変換時にふらつき感を訴える

これらは、大脳皮質の感覚処理の低下前庭系・小脳の機能低下を示唆していました。

特に「入力不足により脳の調整系がうまく働いていない」状態です。


 

4,施術のスタート:鍼と“神経の再教育”

Sさんに行った施術は以下のようなものでした。
 

鍼灸アプローチ:

  • 腰部多裂筋、腸腰筋、横隔膜、後頸部のトリガーポイントへの刺鍼

  • 耳介神経(迷走神経支配部)への鍼刺激

  • 咬筋、内側翼突筋(顎のこわばり)への介入

これにより、求心性刺激(神経への入力)を強め、感覚野・運動野の活動性を高めていきました。

 

機能神経学アプローチ:

  • 眼球運動の再教育(左右追従運動、斜め眼球運動)

  • 呼吸トレーニング(鼻呼吸と腹式呼吸)

  • 頭位変換トレーニングと重心移動練習

目的は、“ぼやけた脳地図”を再構築すること。それはまるで、地図に新しい道を描き足していくような作業でした。


 

5,改善の兆し:「朝目覚めた時の感覚が違う」

施術開始から2週間ほどで、Sさんは次のような変化を感じ始めました。


「朝起きたときの疲れが少なくなってきて、夜も長く眠れるようになってきました。」

「気がつくと、腰の痛みを意識する時間が減ってるんです。」


神経系のリハビリには時間の積み重ねと刺激の繰り返し(加重)が必要です。


Sさんは週1回の施術を2ヶ月間継続し、その後はセルフケアを併用しながら月1のメンテナンスに移行しました。


 

6,再発しない体を作る:神経と“習慣”の再構築

改善した症状を維持するためには、「日常の神経刺激」を整えることが何より重要です。

Sさんには以下の習慣を提案しました:

  • 毎朝の眼球運動と深呼吸(脳幹と前庭刺激)

  • 1時間に1回、立って腰を動かす(体性感覚入力)

  • 就寝前の耳マッサージ(迷走神経刺激)とストレッチ(副交感神経活性)

     

これは“身体へのメッセージの送り方”を変えるトレーニングでもあります。

まるで、毎日脳に「今は安全ですよ」「今は眠る時間ですよ」と語りかけるような感覚です。


 

【おわりに】——脳が安心すると、身体は治り始める

腰痛や不眠といった症状は、「そこだけが悪い」のではなく、身体全体のバランスや、神経系の働きの“ズレ”から起きていることが多いのです。

Sさんは最後にこう言ってくださいました。

「まさか、眼球の動きや呼吸、耳を整えることで腰痛や不眠が改善するなんて、想像もしませんでした。でも、確かに今は、ぐっすり眠れて、朝も軽やかに動けています。」

私たちの身体は、神経という“情報ネットワーク”でつながっています。

そのネットワークの調和を取り戻すことが、真の回復への第一歩です。



 

 

 


 

【出典・参考文献】

 

  1. Apkarian AV, et al. "Chronic pain patients are impaired on an emotional decision-making task." Pain. 2004.

  2. Tracey I, Mantyh PW. "The cerebral signature for pain perception and its modulation." Neuron. 2007.

  3. Napadow V, et al. "The brain circuitry underlying the restorative effects of acupuncture." Trends Neurosci. 2008.

  4. Butler D, Moseley L. Explain Pain. Noigroup Publications. 2013.

  5. Thayer JF, et al. "The relationship of autonomic imbalance, heart rate variability, and sleep in chronic pain." Auton Neurosci. 2010.

  6. Levine YA, et al. "The inflammatory reflex and the role of the vagus nerve in the regulation of immunity." Brain Behav Immun. 2014.

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