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はじめに

こんにちは。大阪府枚方市にある「はる鍼灸整骨院」で、機能神経学と鍼灸を組み合わせた施術を行っている院長の島井浩次です。

「子どもたちに心配をかけたくないんです。」

「だから、ちゃんと元気なお母さんに戻りたいんです。」


初めてお会いしたとき、30代の彼女はそう話してくれました。

3人のお子さんを育てながら、飲食店でパート勤めをしていたテキパキしたお母さん。

子どもたちのお弁当を作り、学校行事にも積極的に参加する。

そんな「家族の中心」だった彼女が、今は家事もままならず、パートも休職している状態でした。

番つらかったのは、「目が取れそうなくらい痛い」と表現するほどの頭痛です。

目の奥がズキズキと痛み、光がまぶしくて目を開けていられない。

さらにフワフワと体が浮くようなめまいと吐き気が続き、歩くときも自分ではまっすぐ歩いているつもりなのに、気づくと左へ寄ってしまう。

家の中でも、子どもに支えてもらいながら移動することが増えていったそうです。


「お母さん、大丈夫?」

子どもたちにそう言われるたび、胸が痛んだといいます。

耳鳴りや耳の閉塞感、右腕の感覚の違和感、不眠…。

今まで当たり前だった日常がどんどん遠ざかっていく感覚に、彼女は「私、このまま普通に戻れないのかな」と何度も不安になったそうです。


脳神経内科や耳鼻科では「異常なし」。

最終的に心療内科で薬を処方されましたが、なかなか良くなる実感は持てませんでした。


「子どもたちと一緒にご飯を作れるようになりたい。ただ、それだけなんです」

その一言には、母としての強い願いと、家族のために元気でいたい気持ちがにじんでいました。

このお話は、そんな彼女が少しずつ体と気持ちを取り戻していった18回の治療の記録です。

 

 

1. 「目が取れそうなぐらい痛い」——初診時の状態

初診時、彼女はうつむきがちで、まぶしい光を避けるように帽子のつばを深く下げて来院されました。

「頭の奥がずっと痛くて、光を見ただけで頭が割れるように痛むんです」と訴えます。

めまいは「体がフワフワ浮く感じが強い」と表現し、吐き気で食事もまともに摂れない日が続いていました。


歩行も不安定で、自分では真っすぐ歩いているつもりでも、左に寄ってしまう。

家族に支えられながらの生活で、家事はほとんどできず、パートも当然休職。

子どもたちには申し訳なさそうに「ごめんね、今日は一緒に遊べない」

と繰り返す毎日だったそうです。

 

 

 

2. 検査で見えた“隠れた問題”

病院で脳や耳に異常は見つからなかった。

でも、神経の“働き方”にヒントが隠れている場合があります。

 

神経学的検査結果

  • ロンベルグテスト:閉眼で大きくふらつく

  • 継ぎ足歩行・オルタネイトテスト・鼻指鼻試験:すべて顕著な陽性

  • 眼球運動検査

    • パースート(追視)でサッケード(急速眼球運動)が混入

    • サッケードではオーバーシュート(行き過ぎて戻る動き)

    • 輻輳(寄り目)は右眼の動きが特に悪い
       

さらに感覚検査では、驚くべき結果がありました。

「左右同じ強さで足裏を触りますね」と伝えて検査すると、

「左はなんだか優しく触られてる感じしかしない…」

「土踏まずを触ってるはずなのに、外側を触られてる感じがする」


彼女自身、自覚はなかったのですが、左足底の触圧覚が顕著に低下しており、触られている場所の識別も不正確でした。

これは、足とは反対側の右脳(感覚野)の働きが低下している可能性を示唆しています。

脳は地図のように体の感覚情報を整理していますが、その“地図”が少しズレているような状態だと、体のバランス感覚も狂いやすくなります。

 

 

 

3. 「少しずつでも良くなりたい」——治療のスタート

施術は、機能神経学的アプローチと鍼灸を組み合わせて行いました。
 

  • 機能神経学では、眼球運動や平衡感覚を整えるためのリハビリ的刺激
  • 鍼灸では、頭痛に関連する頸部や肩のトリガーポイント、さらに自律神経を整えるポイントへの刺激

     

治療初期の変化

  • 3回目まで:頭痛の頻度が徐々に減少。「1日中痛い日がなくなった」と笑顔が戻り始めました。
  • 5回目:頭痛はほぼ起こらなくなり、めまいの頻度も減少。歩行も安定し、「まっすぐ歩ける!」と嬉しそうに話されました。
     

「子どもと一緒に台所に立てました。まだ長くはできないけど…嬉しかったです」

その言葉には、母としての喜びがあふれていました。

 

 

 

4. 停滞の時期、それでも続けた理由

5回目以降、症状は改善してきたものの、10回目まではほとんど変化が見られない停滞期がありました。

「もうここまでなのかな…」と不安を口にされたこともあります。

それでも、彼女は通院を続けました。

「前みたいに寝込むことはなくなったし、できることも少しずつ増えてるから」

その小さな変化を信じ、通い続けた彼女の気持ちは、

母として「元気でいたい」という強い思いに支えられていたのだと思います。

 

 

 

5. ゆっくりでも、確実に前へ


11回目以降の変化

11回目からは再び少しずつ変化が出始めました。

  • 14回目:耳の閉塞感と耳鳴りが気にならない日が増える
  • 16回目:めまいがほとんど出なくなり、パートも2時間から再開
  • 18回目:完ぺきではないものの、日常生活に支障がないレベルまで回復

     

「子どもとスーパーに行って、一緒に夕飯の材料を選べたんです。」

「たったそれだけなのに、すごく幸せでした」


現在は、1~2か月に1回のメンテナンスで体調を維持しています。

 

 

 

6. 今、同じように悩む方へ伝えたいこと

脳や耳に異常がないと言われると、「じゃあどうすればいいの?」と感じる方が多いと思います。

でも、異常がない=問題がないというわけではありません。


神経は、画像検査には映らない「働き方の問題」を抱えることがあります。

機能神経学的アプローチや鍼灸は、そんな“働き方のズレ”を少しずつ整えるサポートになります。

彼女のように、「少しずつでも良くなりたい」という気持ちが回復への大きな一歩になるのです。

 

 


参考文献

  • Carrick FR. Functional Neurology for Rehabilitation of Vestibular Disorders. J Vestib Res. 2019.

  • Melzack R, Wall PD. Pain Mechanisms: A New Theory. Science. 1965.

  • Tracey I, Mantyh PW. The Cerebral Signature for Pain Perception and Its Modulation. Neuron. 2007.

  • 日本神経学会ガイドライン:めまい診療の手引き(2020改訂版)


 

 

 

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